<Header>
<Author: 張若虛>
<Title: 春江花月夜>
<Format: 格式不明>
<Year: 1964>
<BookName: 唐詩選　上>
<Translator: 斎藤晌>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 春江花月夜>
<BookPage: 133-138>
<UsedPage: 6>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
春江潮水連海平，
海上明月共潮生。
灩灩隨波千萬里，
何處春江無月明？江流宛轉遶芳甸，
月照花林皆似霰。
空裏流霜不覺飛，
汀上白沙看不見。
江天一色無纖塵，
皎皎空中孤月輪。
江畔何人初見月，
江月何年初照人？人生代代無窮已，
江月年年秖相似。
不知江月待何人？但見長江送流水。
白雲一片去悠悠，
青楓浦上不勝愁。
誰家今夜扁舟子，
何處相思明月樓？可憐樓上月裴回，
應照離人妝鏡臺。
玉戶簾中卷不去，
擣衣砧上拂還來。
此時相望不相聞，
願逐月華流照君。
鴻雁長飛光不度，
魚龍潛躍水成文。
昨夜閑潭夢落花，
可憐春半不還家。
江水流春去欲盡，
江潭落月復西斜。
斜月沈沈藏海霧，
碣石瀟湘無限路。
不知乘月幾人歸，
落月搖情滿江樹。
<End Poem>
<Translation>
春の揚子江! ひろびろと滿ちあふれる水は海と一つになって平らにつづいている。おりから東の海上には、さしてくる潮とともに明月がぽっかり浮かびあがった。きらきらゆらゆらと波のまにまに光りかがやいて千里萬里のかなたにまで照りわたっている。春の江のほとり、どこといって月の光のささないくまはないだろう。春の流れは、うねうねとにおやかな野邊をめぐって、月の光は花咲く林にさしこみ、 花が點々と白く光って、まるで霰が降っているように見える。空中にひやりとするものが流れて、霜が飛ぶのだろうと思うが、あまり明るい月光のなかでは、さっぱり目にもとまらない。汀にあるはずの白い砂も、白一色の光のなかでは、どれがどれだか、氣をつけてみてもいっこうに見えもしない。空は澄みわたり、水もそれを反映してまったく一色にかがやき、一ひらの塵かげすらない。まっ白に冴えた月輪がぽつんと一つ空中にかかっているばかり。この岸べではじめてこの月を見たのは誰だったろう。またこの月は、いったいいつはじめて人間を照らしたのか知ら。人は生まれ、人は死に、世々このとおりで盡きるというはてがない。この月も每年每年ただこのとおりで、いつ見てもあいかわらずだ。いったい、この月は、こうやって誰がやってくるのを待っているのか知ら。ただ見えるものとては、長江の流れが水をどんどんと東へ送っているすがただけだ。はてしない大空に一片の白い雲かゆるゆると移ってゆく。どこへ行くのか。かえでが芽を吹きかけている青楓浦のほとり、たえがたい憂愁がただようている。今夜、どこの誰かは知らないが、小舟をとめていこうている旅人がいる。おそ ・らくこの旅人のことを思っている女性が、どこかの高樓でこの明月を眺めていることだろう。(その女性は今夜、泣いているのだ。)ひとりとりのこされた若妻のいる高樓の上を、あわれ、月が行ったりきたり、さし覗いたりして、無遠慮にその化粧用の鏡臺を照らし出す。玉を飾った戸のかげ、そこに垂れた御簾をまいて、まきおさめようと思っても、いっこうにはなれて行きはしない。をうつ砧の上で、いくらはらいのけようとしても、月影はやっぱりやってくるのだ。
このとき、お互いに月を眺めて思いあっていても、お互いに消息をかよわすことはできない。「ああ、できるなら、この月の光をおっかけて行って君を照らしたい」雁のたよりということがあるが、今は別れをつげて去る鳥だ。雁が列をなして遠くへ飛んで行った。遠く遠く暗い地平線のかなたに消えて、そこまでは月の光もとどかないように見える。昔、手紙をつたえたといわれる鯉もがなと思って川をみつめていると、魚がパチャッとはねて深くへもぐりこんだ。ただ水面に輪をえがいて波の紋をのこすばかり。昨夜、ものしずかな淵のほとり、しきりに花の散る夢をみたが、ああ、春もなかばを過ぎようというのに、まだ家に帰ることができない。長江の水は春を洗い流して、やがてこの春もゆこうとしている。そして潭のほとりの落月もだいぶ西にかたむいた。ななめの光が次第次第にかげって海上をたちこめた霧のなかにかくれてゆく。北のはての碣石の山から南の果ての瀟湘の川のくままで遠い遠い旅路が限りなくつづいている。この月あかりをたよりにわが家へたどりついた人が何人いることだろう。この一刹那、落月の光がはげしく感情をゆりうごかして岸邊の樹々に滿ちわたった。
<End Translation>
<Formatted Translation>
春の揚子江! ひろびろと滿ちあふれる水は海と一つになって平らにつづいている。
おりから東の海上には、さしてくる潮とともに明月がぽっかり浮かびあがった。
きらきらゆらゆらと波のまにまに光りかがやいて千里萬里のかなたにまで照りわたっている。
春の江のほとり、どこといって月の光のささないくまはないだろう。
春の流れは、うねうねとにおやかな野邊をめぐって、月の光は花咲く林にさしこみ、 花が點々と白く光って、まるで霰が降っているように見える。
空中にひやりとするものが流れて、霜が飛ぶのだろうと思うが、あまり明るい月光のなかでは、さっぱり目にもとまらない。
汀にあるはずの白い砂も、白一色の光のなかでは、どれがどれだか、氣をつけてみてもいっこうに見えもしない。
空は澄みわたり、水もそれを反映してまったく一色にかがやき、一ひらの塵かげすらない。
まっ白に冴えた月輪がぽつんと一つ空中にかかっているばかり。
この岸べではじめてこの月を見たのは誰だったろう。
またこの月は、いったいいつはじめて人間を照らしたのか知ら。
人は生まれ、人は死に、世々このとおりで盡きるというはてがない。
この月も每年每年ただこのとおりで、いつ見てもあいかわらずだ。
いったい、この月は、こうやって誰がやってくるのを待っているのか知ら。
ただ見えるものとては、長江の流れが水をどんどんと東へ送っているすがただけだ。
はてしない大空に一片の白い雲かゆるゆると移ってゆく。どこへ行くのか。
かえでが芽を吹きかけている青楓浦のほとり、たえがたい憂愁がただようている。
今夜、どこの誰かは知らないが、小舟をとめていこうている旅人がいる。
おそ ・らくこの旅人のことを思っている女性が、どこかの高樓でこの明月を眺めていることだろう。(その女性は今夜、泣いているのだ。)
ひとりとりのこされた若妻のいる高樓の上を、あわれ、月が行ったりきたり、さし覗いたりして、無遠慮にその化粧用の鏡臺を照らし出す。
玉を飾った戸のかげ、そこに垂れた御簾をまいて、まきおさめようと思っても、いっこうにはなれて行きはしない。
をうつ砧の上で、いくらはらいのけようとしても、月影はやっぱりやってくるのだ。
このとき、お互いに月を眺めて思いあっていても、お互いに消息をかよわすことはできない。
「ああ、できるなら、この月の光をおっかけて行って君を照らしたい」雁のたよりということがあるが、今は別れをつげて去る鳥だ。
雁が列をなして遠くへ飛んで行った。遠く遠く暗い地平線のかなたに消えて、そこまでは月の光もとどかないように見える。
昔、手紙をつたえたといわれる鯉もがなと思って川をみつめていると、魚がパチャッとはねて深くへもぐりこんだ。
ただ水面に輪をえがいて波の紋をのこすばかり。
昨夜、ものしずかな淵のほとり、しきりに花の散る夢をみたが、
ああ、春もなかばを過ぎようというのに、まだ家に帰ることができない。
長江の水は春を洗い流して、やがてこの春もゆこうとしている。
そして潭のほとりの落月もだいぶ西にかたむいた。
ななめの光が次第次第にかげって海上をたちこめた霧のなかにかくれてゆく。
北のはての碣石の山から南の果ての瀟湘の川のくままで遠い遠い旅路が限りなくつづいている。
この月あかりをたよりにわが家へたどりついた人が何人いることだろう。
この一刹那、落月の光がはげしく感情をゆりうごかして岸邊の樹々に滿ちわたった。
<End Formatted Translation>